不登校の子どもに「居場所」ができると、家が変わる

朝の時間がつらい。親子で言葉が荒くなる。兄弟にも影響が出てしまうのではないか…
不登校は、お子様本人だけの問題ではなく、ご家庭全体に影響をもたらす場合があります。そのような時こそ学校でもご家庭でもない第三の「居場所」であるフリースクールが必要になります。今回は上記テーマに関して色々と考察をしていきたいと考えています。

目次

いま起きている現実:数字が示す“必要性”

文部科学省の最新調査(令和5年度)では、小・中学校の不登校児童生徒は34万6,482人と過去最多。前年度から約4.7万人増で、増加は11年連続です。

この状況を受け、政府や各自治体は「子どもが安心して過ごせる場=居場所」の整備を政策の基本理念に位置づけ、自己肯定感・ウェルビーイングを高める観点で多様な居場所づくりを推進しています。

なぜ「居場所」が必要なのか:5つのメカニズム

  1. 安心の土台
    叱責や評価から離れ、ありのままを受け止められる空間に触れることで、警戒が解け、家の緊張も緩む
  2. 自己決定の回復
    選べる活動・ペース配分・小さな役割がある場は、自己決定感を回復させ、家でも「自分で決めて動く」行動が増えます。
  3. 同年代のつながり
    「自分だけじゃない」という事を知る出会いは孤立からお子様を開放します。
  4. 生活リズムの整い
    新たな行き先ができると、起床・準備・移動といったルーティンが少しずつ戻ります。復帰が唯一のゴールではなくとも、学校との再接続が進むケースもあります。
  5. 親子関係の再構築
    「責め合い」から「尊重と対話」へと関係性が変化するプロセスが見られます。親子の距離感が適切になり、家の会話が柔らかくなるのです。

家がこう変わる:リアルな“5つの変化”

朝の攻防が和らぐ

行き先がある日は、起床→準備の一連がスムーズになりやすい。「今日は行かない」でも、“行くかもしれない先”があるだけで朝の空気は和らぎます。

兄弟げんかが減る

家庭内のストレスが下がると、きょうだいへの八つ当たりが減少。それぞれの時間が保たれ、家の生活音が落ち着きます。

会話の質が上がる

「なんで行けないの?」から「今日はどう過ごす?」へ。
事実と思いを分けて話せるようになると、親子双方の罪悪感が薄れます。

学び直しの入口が見える

料理、工作、デジタル創作、外遊び――興味ベースの小さな成功体験が重なると、家庭でも「次は何してみる?」と前向きな話題が増えます。

親の孤立が解ける

保護者さま同士がつながれる居場所では、「うちだけじゃない」と肩の荷が下り、家での言葉が自然とやさしくなります。

よくある3つの不安に答えます

「居場所=遊ぶだけ」にならない?

評価やテストから離れて心の安全地帯を回復する時期は必要です。活動には役割・挑戦・振り返りが組み込まれ、自己決定と生活習慣の再構築につながります。

学校復帰がゴール?

子どもによってゴールは多様です。ただ、データとして一定割合が学校に戻る事実もあります。焦らずに“今できること”を積み重ねれば、学びの再接続は起きやすくなります。

費用が心配…

東京都は月額上限2万円の利用料助成を実施。通学日数や利用料に応じて負担軽減が可能です。

今日からできる:家庭が軽くなる5つのステップ

  • “朝の合言葉”を切り替える
    ×「今日は行けるの?」 → ○「今日はどう過ごす?」
    問いを事実ベースに変えるだけで、責め合いが減ります。
  • 行き先の“難易度”を刻む
    家→近所の公園→図書館→見学→短時間参加…と細かい階段を用意。
  • “やめ時”の合意
    ゲームや動画は事前に“ここまで”を合意。できた日だけカレンダーに〇をつけ、自己効力感を積み上げます。
  • 小さな役割を家に持ち帰る
    居場所での役割(片付け・調理補助など)を家でも再現。「役に立てた」経験が家庭の会話を変えます。
  • “体験のハードル”を下げる
    まずは見学15分、次は体験30分。失敗しても責めない。“また今度”と言える余白を。

まとめ:家を変えるのは、“完璧な登校”ではなく“小さな安全”

不登校は「怠け」ではありません。心の安全が削られたサインです。
居場所ができると、子どもは安心→自己決定→成功体験の循環に乗り、ご家族もいっしょに軽くなる

“完璧”を目指す必要はありません。小さな安全を積み重ねれば、家は必ず変わります。何かございましたらいつでもご相談ください。

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